1級建築士事務所 もくもくSTUDIO

対談 talk

建て主に聞くもくもくstudio石井啓介 家づくりを楽しむーライフスタイルを大事にした住まい / N夫妻 新しい事業に挑戦する地域をひらくショップづくり/ 港南台タウンカフェ (株)イータウン 斉藤保氏
対談

page [0] [1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11]

N妻:

好きだから、方眼紙に、線を書いて、こういう部屋、この部屋の隣にこういうものを置くとか、窓は、ここに欲しいとか、そういうイメージは、作れるんですよね。でも、あくまでも素人だから、そこから、じゃあどうするという時の手段が何もないから、そこからは、やっぱりプロが入ってくれないと先へ進まない。

N夫:

平面は、イメージできますけども、立体なんかまったくわからないですし、材料をAというのがいいのかBという材料がいいのか、あるいは、C、Dという材料があるのかっていうことすら、こっちは、わからないわけで、知らないわけですから、そういうところは、まったく、お手上げなんで…。

斉藤:

でも、そこまでイメージあって、知り合いのその設計士さんに頼まれても、それでも、ちょっとちがうんじゃないかな?と。

N妻:

そうですね。やはり、プラスアルファの魅力を感じられないというのがひとつあったかもしれない。

N夫:

それとさっき言ったように、例えばじゃぁ、「このイヤリングは、10万円です」というふうにあったとしますよね。これ全体が高くなったからこのイヤリング取っちゃいますといえば、10万円カットできますよね。だけども、「本当にそのイヤリング10万円なんですか?」を知りたいわけですよ。でも、ボクには、わかんないわけですよね、それは。だから、これは、設計者がいうように10万円だけれども、7万円で同じような強度をもった…イヤリングだからヘンな例になっちゃいましたけど…柱とかね、そういうところを見てくれないと。それがプロの設計士のあなたの仕事でしょということなわけですよね。でも、そうじゃなくって、出っ張ってる部分だけ取っちゃえみたいな、そんなふうだったから、そんなことボクだって出来ますよみたいな話になっちゃうわけですよ。

斉藤:

能力なのか?引き出しが少ないだけだったのか?

N夫:

ええ、そのへんは、ちょっと、ボクもわからないですけど。

石井:

逆にね、どうしても無くしたくないとか、そこまで絞りこむっていうのは、全部出さないと…ただ、出すだけでなくって、それに対して、設計者の方もやっぱし、いわゆるアイデアじゃないけど、逆に言うとそれを上回るプレゼンというか、出して行って、それだったらこうでという積み重ねがないと、基本設計って、成り立たないのよね。

斉藤:

そのあたりのプロセスって、うちは、いっぱいありましたね。(笑)

とにかく、予算は、最初の見積の半分ぐらいでしたよね。それこそ、部材をホントは、この大きさでやりたいんだけど…とか、ごくごくシンプルな構造にしてとか。

N妻:

だから、1本柱じゃなくて、ここは、集成材でもいいとか、そういうアイデアは、素人にはないわけですよ。見た目、何か張っちゃったら、もしかしたら建売りはね、「すごい立派な柱ね」って思うけど、別に無垢の1本じゃなくて、ちょっとお化粧したのかもしれない。そんなことは、素人には、わからないから、それは、やはりプロの知識で見てもらわないとどうにもならない。

斉藤:

どうしてもこれは、はずせない部分と、これはいいという部分、理解してもらって、再提案してくれるかどうか。

石井:

だから、この出窓ひとつにしても、いわゆるハウスメーカーの悪口を言うつもりはないけど、「出窓にするとオプションです」って言って、「予算に合わないこと止めましょう」とかそんな話になっちゃうわけで、そうじゃなくって、「なぜ、ここに出窓が欲しいのか」という建て主の思い入れみたいなものがあるじゃない。「どうしてあの丸い窓が欲しいのか」(丸い窓を指しながら)という思い入れがあるじゃない(笑)。(ハイジの窓ですね)

結局そういうことが設計そのものにつながっていきますね。それをいかにディテール含めて、総合的な空間として現実化するか、お金(予算)も含めて。で、パランス良く。その、お金のバランスも。「あの部分だけが、金の無垢に相当するぐらい高いんです。他はね〜」というんじゃ問題外だしみたいなことがあるじゃない。だから、オプショナルって言ったら、ぜ〜んぶオプショナルなんだという発想だよね。とくに個人の住宅は。

N妻:

石井君のアドバイスっていうのは、ここは、こうだけど、ここは、譲って、このくらいのものにしたって、そうは、変わらないよっていうことをアドバイスしてくれるから、それは、そうしましょというところで、予算がおさえられる。

石井:

それで、機能が失せたかというと、そうでないわけ。

N妻:

そうそう。

石井:

だから、そのへんのメニューの取り方とかは、これは、だれにもわかるとは、思いませんよね。そうでなきゃ、ボクなんかの仕事、成り立たないんだから。(笑)

斉藤:

うちも長さ12メートルの「小箱」っていうか、棚が並んでるんですけども、やっぱり、全然、そもそもお金がないところからこれを始めたので…これ、丹沢の杉なんですね。無垢の板を使って。でも、コスト合わないからって言って、じゃ、合板にするかって、合板見たんですけどやっぱりダメで、無垢じゃなきゃダメで、じゃ、どうする?っていう時に、ボクなんかは、「12メートルの棚なんて。最初、ひとなんか来ないから、手前半分でいいですよ。奥は、カフェスペースになるんで、壁に写真とか貼ればいいから」と話をしたんですけど、石井さんは、「やっぱり、だめなんだ」と、どうするっていう時に、無垢は、残しておきたいと…、天井まで棚を刻んでいたんですけど、上ふたつは、最初から全部、無くしちゃって、必要になったら、後から入れればいいんじゃないかと、刻みは入っているんです。そうすると、棚板分の何枚かは、費用が落ちるんです。尚且つ、運搬費とか、管理コストも全部下がる。業者泣かせなんですけど。そこの数字もさっ引いていくとここまで来ると。
で、後、一番削るのが天井だろうと。床も、もともと杉の板を使いたかったのですが、樺桜の安いのを探してコストをおさえて、天井を30数万なのをホームセンター行くとひと缶いくらという世界で、あと、ハケとか、で、20万ぐらい落ちたんですよね。でも、それでもまだ、あと9万いくらかが足りない。最後の最後にやっぱり建築家としてこの12メートルの棚つくりたいから、2年間この棚を借りるから…というところまで石井さんにおっしゃっていただいて(笑)。それだったら、9万出てくるわっていうのがあるわけですから、それでやろうということで、石井さんの魂とボクの魂のはずせない部分があって、できたというストーリーがあるんです。そういう話ってなかなかできないっていうか。

(その後、1年もしないうちにタウンカフェの棚-小箱ショップ-は、申し込みが多く、増設した)

N夫:

そうそう! もくもくSTUDIOのいいところなんです。(笑)

N妻:

こっちの意気も感じてくれるし、逆に石井君の意気を感じるところもあるから。

斉藤:

そこがないと。ただ単に、いわれて値段を削ったりするだけじゃね。

N妻:

そう、そこまで言ってくれるなら、こっちもがんばろうとかね。なんか、もうちょっと探して、どうこうしようっていう、それは、お互いそうですよね。

<< 前のページ

次のページ >>

page [0] [1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11]