1級建築士事務所 もくもくSTUDIO

対談 talk

建て主に聞くもくもくstudio石井啓介 家づくりを楽しむーライフスタイルを大事にした住まい / N夫妻 新しい事業に挑戦する地域をひらくショップづくり/ 港南台タウンカフェ (株)イータウン 斉藤保氏
対談

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ショールームなどもたくさん見て回られたようですが、
ものを選ぶとき、一番、大事にしたことは?

N夫:

あまり、自分で、これよこうなんだっていうのは、具体的にはないですね。いつも感覚的に自分の好き、嫌いで選んでるだけで。どういうもので、統一しようとか、意識的にそういう風には、あまり、思わないね。選んだら結果的に、ヘビーデューティだったりとか、でっかかったりとか(笑)、後になって、ああ、結局、うちが選ぶのはこういうもんだねとこういうことですよね。

こういうものを選ぼうという・・・ま、たとえば、ショールームみたいなところに行って、イタリアのいかにもデザインっていう、ああいうものは、あまり好きでないから、もともとそういうものは、見ないということは、ありますけども、あんまり、意識的に「自分は、こういうものが好きだから、こういうもの」というそういう決めつけ的なものではなくて、とにかく回って、「あっ、これだ」と思って・・・

N妻:

手をのばしたものが、集まるとなんとなく、同じような感じになってる。そういう意味では、好きなものがきっと、決まってるっていうか。

石井:

それ(好み)がね、やってる内にわかってくるわけよ、ボクなんかが。だから、金物にしても、玄関扉の無垢のにしても、ああこれだったら、じゃあ、HORI(堀商店)は、絶対に紹介しなきゃとかね。どうしてもあの扉は、なぐろうぜみたいな。(なぐり仕上げ)(笑)そういう、リズムじゃないけど、波長があうっていうか、結局はね、そういうのが、細かい話のね、仕上げのストーリーにまで、なってくるわけ。あれもこれもは、絶対にダメっていうのが、わかってくるわけね。

要するにね、こっちは、華奢で、こっちは、太くてなんていうのはダメってことね。色だって、同じことなんだけど、それでは絶対まとまらないってわかってるわけ。どう、がんばったって。何も知らないうちに、むしろ、統一されているというかね、そういうストーリーが見えないと・・・ボクが好きでもだめなわけじゃない?それが、やってる間にわかってくるわけなんだよね。

N夫:

たとえば、地下のドア。今ついているのは、実は、私にとっては、100%じゃないんですよ。あの素材はね。イマイチ足らない部分があるのね。最初に施工業者から来た案だと、その辺の簡易住宅のスチールのアルミのドアで、茶色っぽいのあるじゃないですか、焦げ茶みたいな、ああいうドアだった。それ見たとたんにね、もう、腹立ってきちゃって、俺の好みをお前まだわかんねぇのかみたいなね、(なんか、馬鹿にしてない?みたいな。)(注:このときの設計体制は、石井の他のの仕事の関係で、石井が基本設計、実施の図面は、施工会社で書き、チェックする形で、進んだ)「これじゃねぇよ」っていうね、あそこにあんなドアやめてくれって。その実は、ただ単にドアという物理的な要求に応して出てきただけのドアで、こっちの好みを反映させたドアじゃない。

石井:

選択肢として、世の中こんなのがあるんだとか、これ(テーブル)。どっから来てると思う?これ。日本生まれじゃないんだよ。(笑)(いろいろないきさつがあり、ニューヨーク経由のインドネシア産テーブル)

N妻:

このテーブルにしたって、海外旅行した時たまたま入ったアンティーク家具店で見つけて、これがいいと思ったわけ、まず、先にね。そうすると、どうすれば運べるだろうかと。そういう意味では、いつもポジティブに考えてるっていえば、そうかもしれないけれど、「これがほしい」「これを日本にもっていきたい」って、いうのが、まず、あって、でも、運ぶのにものすごいお金がかかるんなら、それは、無理だと、「金に糸目はつけないぜ」という身分では、ないから(笑)。ちゃんと自分の中では、線を引いてあるんだけども、「でも、運びたい」っていうのが、まず、あるわけね。で、そこから、いろいろ、じゃなんか方法をさがそうといって、今、ここにあるわけ。

N夫:

だから、まあ、色ひとつにとってみても、こだわりがあるわけですよ。この床の色(黒)だって、これ、無垢の床材に色を塗ったものだけれども、こういう色が欲しかったわけですよね。で、いろいろ、床材のショールームやなんか行ったんだけれども、床暖対応の床材っていうのは、決まっちゃってて、既製品だとどんなに濃くても薄茶ぐらいの色のしか無いんですよ。で、どうしようって言ってて、でもそんな色は、いやだなってことで、じゃあ、無垢のにこれ塗りゃあいいじゃないかってことになったんですけど、今度は、床暖対応の無垢の床材がないっていうんですよ。当時はね。それで、竹であるんじゃないかとか、いろいろさがして、あんまりこっちが探すんで、Oさんも探してきてくれて、床暖対応の無垢っていうのがあったんですよ。それで、これで行こうということになって、それをどういう色に塗るんですかと言われた時に、「黒に近い色だ」って言っても、塗装屋さんもよくわからないと、そうしたら、東京の家を(20数年前の)建てた時の床材のペンキをまだ、とってあったんですね。

N妻:

当時、大工さんが飲んでたコーヒーの缶に残しておいてくれたんですよ。それを私が大事にとっておいたんです。それこそ、濃い薄いは、口で言ってもわからないから、じゃ今度もってきますって言って、20何年前のペンキを持ってきて見せたら、今度それは、ペンキ屋さんがプロなわけなんですよね。ダッーっていって、現場で、ちょっと垂らし、ちょっと垂らし、して…

N夫:

「もうちょっと赤入れたらいいのかなとかいいながら・・・

石井:

今だから言うけどさ、あの職人さんは、あの時、「真っ黒じゃないか」と思ったのね。けど、言いたくてもそうは、言えないから「これは、なかなか、大変だ」とか言って。(笑)

N妻:

でも黒で塗ったら、やっぱり、グレーに出てきちゃうでしょ。

石井:

そうなの。

N妻:

って、この色じゃないのよね。だから、『現物』なの。

石井:

めずらしい色だねっていう言い方してたね。(笑)どうしようかと困っていたと思うよ。結構出せない色なんだよね。

N妻:

東京の家を建てた時も、ペンキ屋さんがイライラして、その時は、ものがないから、「もっと黒い」とかいうと、「そば屋でもはじめるのかい」とか皮肉いって、色が決まらなくて、何度つくったかね。

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